[クパチーノ(米カリフォルニア州) 10日 ロイター] – 米アップル(AAPL.O: 株価, 企業情報, レポート)は10日、スマートフォン(多機能携帯電話、スマホ)「iPhone(アイフォーン)」の新型2モデルを発表した。

廉価版の「5C」は緑や青など5色を提供、価格は通信会社と契約した場合で99ドルからとなっている。劣勢を強いられているインドや中国など新興国向けに低価格スマホを投入し、韓国サムスン電子(005930.KS: 株価, 企業情報, レポート)や中国の華為技術(ファーウェイ)HWT.ULに対抗する。

従来機の新型版「iPhone 5S」はグレー、シルバー、ゴールドの3色を用意、最新の基本ソフト(OS)「iOS7」を搭載した。処理速度を改善させたほか、指紋認証機能を備え、ワンタッチで待ち受け画面の解除が可能となる。

5Cは13日からオンライン販売を開始、5Sは20日から予約販売を受け付ける。今回初めて、米中2カ国で同時発売に踏み切る。これにより、密輸されたアイフォーンが取引される中国の闇市場は大きな打撃を受ける可能性がある。

主力製品のカラーの拡充や廉価版投入は、黒白2色を基調に高級ブランドイメージに依存してきた従来の販売戦略からの決別ともなる。当初は、廉価版の投入は利益率を低下させ、発売以来維持してきた高級イメージを傷つけるとの批判的な見方もあった。

ティム・クック最高経営責任者(CEO)は米カリフォルニア州クパチーノの本社で開いた発表イベントで、アイフォーンやタブレット型パソコン「iPad(アイパッド)」など、iOS搭載機の出荷台数が来月中にも7億台に乗せるとの見方を示した。

ダブルラインのポートフォリオマネジャー、ブレント・ストーリング氏は「iOS7の改善はおおむね緩やかで、大きな変化はない」との見方を示した。

オーバム・リサーチの首席通信エコノミスト、ジャン・ドーソン氏は「アップルは向こう数カ月に、他の商品ラインを拡充し、アイフォーンやアイパッドの伸び鈍化や利益率低下を早急に補うことができることを示す必要がある」とし、それは「難しい注文だ」と述べた。

アップルは翌11日には、北京でメディア向けイベントを開催する。イベントでは世界最大の携帯電話事業者である中国移動(チャイナ・モバイル)(0941.HK: 株価, 企業情報, レポート)との販売契約を発表するとみられており、実現すれば大きな追い風となる。

中国連合通信(0762.HK: 株価, 企業情報, レポート)と中国電信(0728.HK: 株価, 企業情報, レポート)とはすでに販売契約を結んでいるが、最大手のチャイナ・モバイルとの販売提携は実現していなかった。

アップルは、日本でも最大手のNTTドコモ(9437.T: 株価, ニュース, レポート)とアイフォーンの取り扱いで提携を開始する。

アップルが廉価版の5Cを欧米などの成熟市場で販売するかどうかも大きな問題だ。その場合、5Sとシェアを食い合うリスクもある。

バーンスタイン・リサーチのアナリスト、トニ・サコナギ氏によると、300ドル前後のスマホは2015年までに9億台の市場に成長する見通し。アップルがその10%でもシェアを確保できれば、5Cは年間300億ドル売り上げを押し上げる要因となる。

バークレイズのアナリスト、Ben Reitzes氏は「この日の発表でサプライズとなり得るのは、新たな中国戦略の規模やスピード、iOS7の新機能、指紋認証機能くらいのようだ」とし、「スマホのスクリーン拡大トレンドに乗り遅れたことに加え、アイパッドも緩やかな改善しか期待できないもようであるため、アップルはソフトウエア、サービス面で技術革新を起こせることを示す必要がある」としている。

ニュース元:ロイター